家庭訪問は恋の始まり
それは嬉しいけど、人は想像するより残酷な事を言う時もある。

それが小さな嘉人くんに向かわなければいいけど…

「だから夕凪は、気にせず、料理を習えば
いい。
俺も気にしないから。」

「ほんとにそれでいいのかな?」

大丈夫だと言われても、一抹の不安が残る。

私の不安の色を読み取ったのだろう。

瀬崎さんが妥協案を提示した。

「じゃあ、俺がタクシーで来るよ。」

「えっ?」

「車が目立つからダメなんだろ?
なら、車で来なきゃいい。
タクシーなら、出入りの瞬間さえ
見られなければ、俺がここに出入りをしてる
事は分からないだろ?」

確かにそうだけど…

「でも、それじゃ、瀬崎さんにタクシー代を
払わせる事になるじゃない。
それは申し訳ないよ。」

私が言うと、

「それくらい、外にデートに行く事を思えば
安いものだろ?
気にしなくていいよ。」

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