家庭訪問は恋の始まり
『くくっ
ああ、いつもお世話になっております。』

瀬崎さんが電話の向こうで笑う。

「こちらこそ、お世話になっております。」

『嘉人、またなんかやらかしました?』

「いえ、実は今日、嘉人さんが学校に
計算ドリルのノートを忘れまして…
宿題に計算ドリルが出てるので困ってる
のではないかと思ってお電話したんです。
とりあえず、今日の宿題は算数のノートに
やっていただいても構いませんが、少し
遅くなっても良ければ、私が帰る時に家まで
お届けしますけど、どうしましょうか?」

これは、他の子が忘れた時にも言ってる事。

大抵の保護者は、ここで他のノートにやるから届けなくていいと遠慮するんだけど…

『じゃあ、お願いします。
何時頃になりそうですか?』

………やっぱり。

「瀬崎さんは、何時頃ならお帰りですか?」

『んー、今日はこの後、特にアポも入って
ないので、6時半には帰宅できると思います。』

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