家庭訪問は恋の始まり
そんな事を言われても、私は魚の名前すらあまり知らない。

「んー、ヒラメじゃないなら、カレイ!」

「ブッブー」

瀬崎さんが誤答である事を告げる。

「じゃあ、サバ!」

「ブー」

「サンマ!」

「ブー! 形を見れば秋刀魚じゃない事は
分かるだろ。」

「だって、私、魚の名前なんて知らないもん。」

私が口を尖らずと、嘉人くんが不思議そうに言った。

「パパ、夕凪先生より物知りなの?」

私たちは、思わず顔を見合わせた。

「嘉人さんのお父さんは、先生よりいろんな
事を知ってるのよ。
すごいよね。」

私は嘉人くんにそう言った。

父と息子。

絶対、尊敬できる父の方が将来、関係がうまく行く。

ま、実際、私から見ても尊敬しかないような素晴らしい人なんだけどね。

「パパ、すごぉい!」

嘉人くんから、尊敬の眼差しが注がれる。

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