家庭訪問は恋の始まり
「分かりました。
私は、神山先生を信じますよ。
神山先生は、軽々しく保護者とどうこうなる
人ではない事を知ってますから。
ただねぇ、神山先生をよく知らない保護者の
方がそれを信じてくださるか、というと、
いささか疑問で…
普通に料理教室に通えば良かったんじゃ
ないか、って言われたら、その通りと言う
しかない状況なのは、ご自分でもお分かり
でしょう?」

「………はい。」

おっしゃる通りでございます。

「3時間目は、三宅先生に1年1組に入って
もらってます。」

三宅先生は、教務主任の女性の先生。
出張や欠勤の際の自習監督によく入ってくださる先生だ。

「神山先生は、とりあえず、状況がはっきりする
まで、担任を外れていただきます。
いいですね?」

えっ!? そんな…

「あの! 本当に何もやましい関係ではないん
です。
お願いです。
担任を続けさせていただけませんか?」

私は懇願したが、それが聞き入れられる事はなかった。

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