家庭訪問は恋の始まり
私が授業モードに話を切り替えると、子供たちはもう昔の遊びに夢中だ。

お手玉、あやとり、こま回し、折り紙、けん玉。

おじいちゃん、おばあちゃんは、そんな遊びの名人だから、今からとても楽しみにしている。


私は無事、5時間目を終えた。


子供を下校させ、ひとり、教室でほっと一息つく。


そこへ武先生が隣のクラスからやってきた。

「お疲れ様。
今日は大変でしたね。」

武先生が労ってくれる。

「いえ、武先生こそ、私のために大変な思いを
させてしまって、すみませんでした。」

私が頭を下げると、武先生は苦笑いを零した。

「謝られるとは思ってませんでした。
むしろ、怒らせて嫌われると
思ってましたから。」

「えっ? なんでですか?」

武先生は助けてくれたのに。

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