家庭訪問は恋の始まり
「先生は4月から、他の小学校の先生になる
事になりました。」

「ええ〜!!」

子供たちが驚いた声をあげた。

「なんで? なんで先生行っちゃうの?」

嘉人くんは、立ち上がって駆け寄ってくる。

「嘉人さん、まだ授業中です。
授業中には席を立た…?」

「…ない。
でも、だって、夕凪先生が!」

分かってはいても席に戻れない葛藤を顔に滲ませる。

「先生もみんなともっとお勉強したかった
けど、他所の小学校にも先生とお勉強したい
っていうお友達がいるんだって。
だから、先生は4月から違う小学校に行く
けど、きっとみんなとはまた会えるから、
それまでちょっとだけ、さよならね。」

私は、机を後ろに下げて、クラス写真を撮った。

すると、巡回していた三宅先生が声をかけてくださる。

「神山先生も一緒に入ってください。
私が撮りますから。」

< 390 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop