家庭訪問は恋の始まり
その後、木村先生は、私のアパートまで来てくれて、私を助手席に乗せてちょっと小洒落た洋風居酒屋に連れていってくれた。


「予約した木村です。」

店に入るなり、木村先生はそう言った。

「え?
わざわざ、予約してくださったんですか?」

驚いた私が木村先生を見上げると、木村先生ははにかんだように笑って、

「児童の話もしたいでしょうから、
個室の方がいいでしょう?」

と言った。

「あ、ありがとうございます。」

この人、本当に気遣いができるいい人だ。

なんで、結婚しないんだろ?



私たちは、奥の個室に通される。

「神山先生は、何を飲まれますか?」

木村先生がメニューを見せてくれる。

「じゃあ、カシスオレンジで。
木村先生は、何にされますか?」

「バーボンをロックで。」

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