家庭訪問は恋の始まり
お酒を飲みながら、木村先生が口を開いた。

「そういえば、子供達、神山先生のこと、
夕凪(ゆうな)先生って呼ぶよね?」

「そうですね。
なんか、最近の保育園は、先生を下の名前で
呼ぶみたいなんです。
だから、木村先生も武(たける)先生って、
呼ばれてますよね。」

「そうそう。
ちょっと落ち着かないけど、その方が子供達が
馴染みやすいなら、俺たちもそう呼んだ方が
いいかもね。」

「お互いに、ですか?」

「うん。
ね、夕凪せんせ。」

「ふふっ
そうかもしれませんね、武先生。」

私たちは、お互いに顔を見合わせて笑い合った。

「で、瀬崎嘉人は帰りに何をごねてたの?」

「あ、あれですか。
よく分かりませんけど、嘉人くんのお母さんが
出てっちゃったみたいなんです。」

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