家庭訪問は恋の始まり
私の言葉を聞いて、お義母さんはホッとしたように微笑んだ。

「そう、ちゃんと叱ってくれるのね。
じゃあ、夕凪さん、これから嘉人を
お願いね。」

これって、認めてもらえたって事?

「はい!」

そこへ、タイミングを見計らったかのように、美恵さんがお茶を持ってきてくれた。

「奥様、お茶はどちらに置きましょう?」

確かにここでは、パズルが邪魔で、お茶を置けない。

「そうね。
美恵さん、客間の方に運んでいただける?」

「かしこまりました。」

そう言って美恵さんは客間に案内してくれた。

そこは意外にも洋室だった。

まだ文化財に指定されるずっと前、明治の頃に改築されたらしい。

パリポリとお菓子を頬張る嘉人くんをよそに、大人の会話は続く。

家族構成や両親の仕事、私の仕事、今後の事。

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