家庭訪問は恋の始まり
私は、瀬崎さんの顔を見る。

瀬崎さんは、優しく頷いてくれた。

「大丈夫です。
私は、子供が好きで教師になりました。
教師になって、子供がかわいいだけの生き物
ではない事も知っています。
その上で、言います。
嘉人くんは、正直、手はかかりますが、
かわいいです。
入学時には、自分の感情を制御できなくて、
お友達に手をあげる事もありましたが、
今では、どんなに苛立っても、手をあげる事は
ありません。
ただ、物に当たる事は多いです。
私はそれを分かった上で、嘉人くんの
お母さんになりたいと思いました。
実は、瀬崎さんは、初め、嘉人くんのお母さん
には、ならなくていいと言ってたんです。
嘉人くんは、普通の子より手がかかるから、
瀬崎さんに丸投げで、私は瀬崎さんの
奥さんだけしてればいい…と。
でも、それは嫌だと断りました。
私は、瀬崎さんの奥さんになりたいですが、
同時に嘉人くんのお母さんにもなりたいと
思ってます。
だから、私は、誰が何と言おうと、嘉人くんの
お母さんである事を全うしようと思います。」

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