家庭訪問は恋の始まり
一言って言われても、今、口を開いたら、涙が止まらなくなるよ。

「みんな、わざわざ来てくれてありがとう。
歌もとっても上手だったよ。」

私は、ゆっくんのハンカチを握りしめて、鼻水を押さえながら、頑張ってお礼を言った。

その後、お色直しに中座したついでに、涙で崩れたメイクを直してもらい、また席に戻る。

和やかに進む披露宴だったが、また、扉が開き、スポットライトが入り口に当たり、子供たちがまたわらわらと現れて整列する。

えっ? 何?
だって、2年3組はもう歌ってくれたよ?

だけど、その中心に廊下からではなく、会場内から走っていく見慣れた姿。

「嘉人くん。」

高砂席からは離れているから、よく見ないと顔が分からないけど、今、並んでるのは元1年1組の子供たち。

ピアノは、やっぱり松井先生。

今度、流れてきたのは、『向日葵の約束』

ひまわりのように元気いっぱいに歌ってくれた。

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