家庭訪問は恋の始まり
悪いのは、他の実習生なのに、神山の点が下がるのは、俺も納得がいかない。

俺は、田中を呼んだ。

「田中、ノート提出、忘れてないか?
今、持ってきたら見てやるから、すぐに
取ってこい。」

田中は、助かったとばかりに、教室に飛び込んで、ノートを取ってきた。

相変わらず、俺とも目を合わせず、ノートだけを差し出す。

「お前はやればできるんだから、こんな
提出物の遅れで、成績を下げるな。
どっちを見ててもいいから、人の話は
ちゃんと聞けよ。」

田中は、顔を背けたまま頷いて、逃げるように教室へ戻っていく。

それを見届けて、俺は他の生徒には聞こえないように配慮して、神山に声を掛けた。

< 478 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop