家庭訪問は恋の始まり
「君の言ってる事は、間違ってはいない。
でも、それができない奴もいるんだ。
あいつは、小学生の頃から、君が言ったのと
同じような事を、何度も言われてきた。
本人も、そうしなければいけない事は、
嫌という程、分かってる。
でも、できない。
それが、障害なんだよ。
それを分かった上で、焦らず、根気強く
教えてやりなさい。」

「はい。ありがとうございました。」

神山は、勢いよく頭を下げた。

くくっ
こいつ、体育会系だな。


うちの中学は、マンモス校で職員の数だけで50人を超える。

おそらく、神山は俺が誰なのかも覚えていないだろう。

それが当たり前だし、俺は別に気にも留めていなかった。

だけど、俺は、その日以来、神山が気になって仕方がない。

掃除中、部活中、廊下で、彼女を見かけると、つい目で追っていた。

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