家庭訪問は恋の始まり
もともと、ちゃんとした資格も持たないフリーターだった彼女が選べる選択肢は1つしかなかった。

その夜、妻は実家に帰り、3日後の日曜、離婚届に妻のサインをもらって、俺一人で役所に提出した。

当然、嘉人の親権は俺が持つ。

その夜、俺は嘉人に離婚した事を説明した。

嘉人には、金曜の朝の段階で、「ママはもう帰らないかも」と言ってあったせいか、それほど取り乱す事も、泣く事もなかった。

それどころか、嘉人はとんでもない事を口にする。

「僕ね、金曜日に夕凪先生にお願いしたの。
『僕のママになって』って。」

「はっ!?」

俺は驚いて思わず聞き返した。

「そしたらね、夕凪先生が僕のママに
なるには、パパのお嫁さんにならないとダメ
なんだって。
だからね、夕凪先生が僕の先生じゃなく
なったら、パパのお嫁さんにしてあげて。」

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