家庭訪問は恋の始まり
ハンバーグを焼きながら、付け合わせの野菜を切っていると、玄関のチャイムが鳴り、夕凪先生がいらっしゃった。

嘉人が食事に誘うが、先生は遠慮して帰ろうとする。

俺は手を止めて、玄関に行き、説得を試みた。

夕凪先生は、少し困った顔をしながらも、応じてくれた。

食事をしながら思う。

ああ…
嘉人の見る目は確かだ。
これは、母親としてだけではなく、女性としても魅力的だ。

人ときちんと向き合えて、感情的にならないのに感情に訴える話ができる。

ただ叱るのではない。
「大丈夫」「信じてる」「一緒に頑張ろう」
こんなに前向きに話されたら、期待に応えたくなる。

そのくせ、嘉人が「パパのお嫁さん」というワードを出した途端に頬を染めて、この上なくかわいらしい。

だから、俺は嘉人に乗っかって、「親子共々よろしく」と言ってみた。

その直後、彼女は耳まで真っ赤にしてうろたえる。

これ… すっごくかわいい。

俺が「かわいい」と口にすれば、さらにうろたえて、目を泳がせる。

< 504 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop