エリート社員の一途な幼なじみに告白されました
次の日の放課後、待ち合わせ場所のコンビニへ向かうと、既に倉持くんが待っていた。何か本を読んでいる。
「ごめん、お待たせ」
私の呼びかけに倉持くんは私を一瞥すると、少しずれた眼鏡のブリッジを指先でかけ直し、「いや」と呟いた。既に腕にはビニール袋がぶら下がっている。
「餌はもう買った。早く行こう」
本を閉じ、昨日の路地がある方向を指さす。私は頷き、環の横に並んで一緒に歩いて行った。
「何の本、読んでたの?」
「コンピューターの本」
コンピューターと言えば、「情報学習室」という部屋に沢山並べられている機械だった気がする。最近始まったばかりの授業で、「まうす」とか「きーぼーど」を使って課題に沿った調べ物をする授業だ。「きーぼーど」の配置を覚えるのが難しくて結構苦戦している。
「倉持くん、コンピューターに興味があるの?」
「僕、将来コンピューター関係の仕事がしたいんだ」
「へえ、凄い! あんな難しそうなもの、私には想像もつかないし、出来ないよ」
私が感嘆の声をもらすと、倉持くんは照れくさそうに鼻を触った。
「家にもコンピューターがあって、色々いじれるんだ」
「そうなの!? 何かコンピューターって高そうだけど」
「父さんが、そういう仕事してるから。学校のやつより全然性能が良いし、家ではずっと触ってる」
学校にあるやつより良いコンピューターってどんな奴だろう。興味がわいてきて、私は、特に意識もせずに、
「今度倉持くんの家のコンピューター、見せてよ! 面白そう」
と言った。でも、途端に倉持くんは表情を曇らせ、
「……いやだ」
と言った。
「え、どうして」
首をかしげると、倉持くんは困惑したように首の後ろを触った。
「家に誰も居ないし、どうすれば良いのか分からない」
「共働きなの?」
「お父さんは、仕事で夜遅く帰ってきて、ほとんど居ない。……お母さんも居ない。」
しまった。あんまり触れちゃいけないことを聞いてしまったかもしれない。
「ごめん、お待たせ」
私の呼びかけに倉持くんは私を一瞥すると、少しずれた眼鏡のブリッジを指先でかけ直し、「いや」と呟いた。既に腕にはビニール袋がぶら下がっている。
「餌はもう買った。早く行こう」
本を閉じ、昨日の路地がある方向を指さす。私は頷き、環の横に並んで一緒に歩いて行った。
「何の本、読んでたの?」
「コンピューターの本」
コンピューターと言えば、「情報学習室」という部屋に沢山並べられている機械だった気がする。最近始まったばかりの授業で、「まうす」とか「きーぼーど」を使って課題に沿った調べ物をする授業だ。「きーぼーど」の配置を覚えるのが難しくて結構苦戦している。
「倉持くん、コンピューターに興味があるの?」
「僕、将来コンピューター関係の仕事がしたいんだ」
「へえ、凄い! あんな難しそうなもの、私には想像もつかないし、出来ないよ」
私が感嘆の声をもらすと、倉持くんは照れくさそうに鼻を触った。
「家にもコンピューターがあって、色々いじれるんだ」
「そうなの!? 何かコンピューターって高そうだけど」
「父さんが、そういう仕事してるから。学校のやつより全然性能が良いし、家ではずっと触ってる」
学校にあるやつより良いコンピューターってどんな奴だろう。興味がわいてきて、私は、特に意識もせずに、
「今度倉持くんの家のコンピューター、見せてよ! 面白そう」
と言った。でも、途端に倉持くんは表情を曇らせ、
「……いやだ」
と言った。
「え、どうして」
首をかしげると、倉持くんは困惑したように首の後ろを触った。
「家に誰も居ないし、どうすれば良いのか分からない」
「共働きなの?」
「お父さんは、仕事で夜遅く帰ってきて、ほとんど居ない。……お母さんも居ない。」
しまった。あんまり触れちゃいけないことを聞いてしまったかもしれない。