エリート社員の一途な幼なじみに告白されました
「ふー、冷えてるねえ」
食後のコーヒーまで飲み終え、会計も終えて外に出ると、吐く息が白くなるほど気温が下がっていた。でも私はアルコールが回っているせいでぽかぽかと体は温かく、言った言葉とは裏腹にマフラーは付けずにコートだけ羽織った。
後から店を出た環の方を振り返ると、環もそれなりの量のワインを飲んだはずなのに、環は店に来る前と同じような雰囲気を纏っていて、まだまだ余裕がありそうだ。私よりお酒が強い、というのは本当みたいだった。
「環」
「ん?」
「ありがとう。ごちそうさま」
結局、ご飯は環にご馳走になってしまった。私も出そうとしたけれど、自分が誘ったからと言ってそそくさとカード払いされてしまった。
「……また月曜から頼んだぞ」
「うん、ばりばり頑張るよ」
来た道へ向かって一歩踏み出すと酔いのせいで少し足元がおぼつかない。ふらっと縁石を踏み外しそうになった瞬間、タイミングが悪く車が通りかかりそうになった。環が慌てて腕を伸ばし、私の体を引き寄せた。
「おい、大丈夫か?」
「う、うん。ごめん」
自然と私の体は環の腕の中に後ろからすっぽりと抱きすくめられている体勢になった。環の体は大きくて温かくて、あの頃とは違って、当たり前だけれど「男の人」になっていた。男の人に抱き締められるなんて、それこそ失恋以来で、アルコールで解れたはずの体は緊張して固まってしまった。
それに何故か環も、私の体を離そうとしなかった。そればかりか、少しずつ抱き締める力が強くなっていく。こんな体勢、端から見たら、間違いなく「恋人」だ。
「た、たまき?」
恐る恐る環に問いかけると、環は何も言わずに、私の髪に唇を寄せて静かに呼吸した。アルコールの匂いがする。酔っ払ってるように見えなかったけれど、やっぱり酔っ払ってるんだろうか。
食後のコーヒーまで飲み終え、会計も終えて外に出ると、吐く息が白くなるほど気温が下がっていた。でも私はアルコールが回っているせいでぽかぽかと体は温かく、言った言葉とは裏腹にマフラーは付けずにコートだけ羽織った。
後から店を出た環の方を振り返ると、環もそれなりの量のワインを飲んだはずなのに、環は店に来る前と同じような雰囲気を纏っていて、まだまだ余裕がありそうだ。私よりお酒が強い、というのは本当みたいだった。
「環」
「ん?」
「ありがとう。ごちそうさま」
結局、ご飯は環にご馳走になってしまった。私も出そうとしたけれど、自分が誘ったからと言ってそそくさとカード払いされてしまった。
「……また月曜から頼んだぞ」
「うん、ばりばり頑張るよ」
来た道へ向かって一歩踏み出すと酔いのせいで少し足元がおぼつかない。ふらっと縁石を踏み外しそうになった瞬間、タイミングが悪く車が通りかかりそうになった。環が慌てて腕を伸ばし、私の体を引き寄せた。
「おい、大丈夫か?」
「う、うん。ごめん」
自然と私の体は環の腕の中に後ろからすっぽりと抱きすくめられている体勢になった。環の体は大きくて温かくて、あの頃とは違って、当たり前だけれど「男の人」になっていた。男の人に抱き締められるなんて、それこそ失恋以来で、アルコールで解れたはずの体は緊張して固まってしまった。
それに何故か環も、私の体を離そうとしなかった。そればかりか、少しずつ抱き締める力が強くなっていく。こんな体勢、端から見たら、間違いなく「恋人」だ。
「た、たまき?」
恐る恐る環に問いかけると、環は何も言わずに、私の髪に唇を寄せて静かに呼吸した。アルコールの匂いがする。酔っ払ってるように見えなかったけれど、やっぱり酔っ払ってるんだろうか。