エリート社員の一途な幼なじみに告白されました
#20 幼なじみ、もとい
12月25日、クリスマス。
60階から見える夜景は、とても綺麗だった。
至る所にそびえ立つ幾つもの大きなオフィスビルからはところどころ光が漏れて東京の夜空を明るく照らしている。
今日が恋人にとっては特別な日でも、単なる日常の一部に過ぎない人も居る。
あるいは、特別な日だけれど、仕事が終わらなくて仕方なく残業している人も居るのかも知れない。
それでもオフィスから漏れる光とビルの屋上で点滅する飛行障害灯は、上からみるととても綺麗だ。
「綺麗だな」
私の外を眺めていると、後ろから環の声がした。
「……環」
振り返ると、環が穏やかな表情を浮かべて立っている。環が着ているダークグレーのスーツは、本当に仕事終わりなのかと思う位綺麗なままだ。
つい十数分前に済ませた最上階でのレストランでのディナーも、見取れるほどの所作だった。
環は、「身だしなみも食事の作法も仕事上必要なんだ」と言って謙遜したけれど、確かにこんな立ち振る舞いをされたら、相手も嫌な気持ちはしないだろう、と思った。
反面、フォーマルな場所に慣れていない私は緊張しっぱなしだった。この日のために服も新しく買ったけれど、出社した時から落ち着かなった。……桃子ちゃんにもニヤニヤされちゃうし。