仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「え? おい、大丈夫か?」
慧が慌てふためくのを見て、美琴は慌てて涙を拭った。
「ごめん、大丈夫。ちょっと気が緩んだだけ。慧といると油断しちゃって」
昔を知っているからか、または慧の人柄か、隠していた素の自分が出て来るのだ。
慧は目を伏せて何かを考え込んでいたけれど、決心したように強い口調で言った。
「なあ、やっぱり俺に悩みを話せ」
「え?」
慧らしくない命令口調に戸惑う。
「プライベートにズカズカ入るのは良くないと思って遠慮してたけど、このままじゃ美琴はストレスでおかしくなる。誰にも言えないで悩んでたんだろ? 絶対に秘密は守るから話せよ、話して楽になることもあるだろう?」
「……話せないよ。きっと慧に軽蔑されるもの」
「しないって。誓うから早く言えよ」
せっかちに促され、美琴は苦笑いになった。
「慧……相変わらず、強引」
「だってこうでもしないと美琴は口を割らないからな」
慧は昔から結構頑固だ。こうと決めたら譲らなくなる。
今は美琴の悩み相談を受ける気満々になっている。
「その押しの強さかなわないな……」
だけど、頼もしかった。
本当は誰かに聞いて欲しかったから。
でも相手が不快になるだろうと思い言えなかった。
きっと、こんな風に命令でもされない限りは、ずっと自分の心に秘めていただろう。
唇が震える。
だけど、一言発すると、水が溢れるように次々と言葉が溢れていった。
慧が慌てふためくのを見て、美琴は慌てて涙を拭った。
「ごめん、大丈夫。ちょっと気が緩んだだけ。慧といると油断しちゃって」
昔を知っているからか、または慧の人柄か、隠していた素の自分が出て来るのだ。
慧は目を伏せて何かを考え込んでいたけれど、決心したように強い口調で言った。
「なあ、やっぱり俺に悩みを話せ」
「え?」
慧らしくない命令口調に戸惑う。
「プライベートにズカズカ入るのは良くないと思って遠慮してたけど、このままじゃ美琴はストレスでおかしくなる。誰にも言えないで悩んでたんだろ? 絶対に秘密は守るから話せよ、話して楽になることもあるだろう?」
「……話せないよ。きっと慧に軽蔑されるもの」
「しないって。誓うから早く言えよ」
せっかちに促され、美琴は苦笑いになった。
「慧……相変わらず、強引」
「だってこうでもしないと美琴は口を割らないからな」
慧は昔から結構頑固だ。こうと決めたら譲らなくなる。
今は美琴の悩み相談を受ける気満々になっている。
「その押しの強さかなわないな……」
だけど、頼もしかった。
本当は誰かに聞いて欲しかったから。
でも相手が不快になるだろうと思い言えなかった。
きっと、こんな風に命令でもされない限りは、ずっと自分の心に秘めていただろう。
唇が震える。
だけど、一言発すると、水が溢れるように次々と言葉が溢れていった。