仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
急な招集にもかかわらず、七人が集まった。

慧の行きつけのダイニングバーで開催された

後から集まったメンバーは男性五人に、女性ニ名。

皆、中学卒業後も慧と付き合いが有ったそうだ。

慧のコミュニケーション能力の高さが伺える。

対して美琴は全員十年ぶりの再会だった。

それほど疎遠にしてしまったのは家の仕事が忙しかったのに加え、美琴が学生時代に携帯電話を所持していなかったからでもある。

高校生になると、同級生たちはスマートフォンを持ち始めたが、美琴は依然として個人的な連絡手段がないままで、友人達とのコミュニケーションが取りづらい状況だった。

本当はスマートフォンを持ちたかったが、父親にも義母にも欲しいと言いづらく、卒業して社会人になってから自分で買った。

そのとき登録出来るアドレスの少なさに、少なからずショックを受けたのを覚えている。

(もっと、友達との繋がりを大切にしてくれば良かった)

仲間に囲まれて楽しそうにしている慧を見ていると、強く思った。



友人達の中心にいた慧は、そう時間を置かずに、一番端の席に座った美琴の隣に来てくれた。

「大丈夫か?」

「うん。みんなあまり変わってない。元気そうで良かった。でも、久しぶりだからちょっと緊張しちゃう」

「気楽にしてろよ。それにこれからは連絡取り合えばいいだろ?」

慧は自然な仕草で友人達に声をかける。
すると、皆も美琴に気さくに話しかけてくれたから、初めに感じた緊張感はあっという間になくなった。

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