仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「ごめん、もう少し早く声をかければ良かったな。電車だと時間がかかるからタクシーを捕まえよう」
「ううん、私が悪いんだよ。慧が言ってくれなかったら十二時になってたかも。楽しくて時間を忘れちゃった」
「そうか、新年会やって良かったな。また集まろうな」
「うん、みんなに会えて幸せだった。慧には感謝しかない、本当にありがとうね」
満たされた気持ちで自宅に向かう。
神楽家の敷地近くまでタクシーで送って貰った。
別れ際、感謝の気持ちを伝えたくて、心を込めて伝えた。
「慧、今日は本当に楽しかった。それに私の悩みを聞いてくれてありがとう。凄く楽になったよ」
慧はどこか悲しそうな切なそうな表情を浮かべた。
「今は辛い時期だけど美琴は必ず幸せになれるよ。また連絡するから遠慮なく俺を頼れよ」
「……ありがとう、心強いよ」
慧に手を振り、いそぎ足で離れに行き、玄関を開けた美琴は、思いがけない光景に息を飲んだ。
一希が険しい顔をして、立っていのだ。