仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
第九章 お互いの疑問
一希の醸し出す空気は明らかに美琴に対しての怒りが表れていた。
「ただいま」と言うことも、無視も出来ずに美琴は靴を履いたままの状態で玄関に立ち尽くす。
恐れているわけではないけれど、一希がなぜ不機嫌顔で待ち構えていたのか分からず対応を決めかねたからだ。
無言の美琴に一希は眉をひそめる。
「なぜ上がらない?」
「……一希が道を塞いでるから。どいて貰える?」
一希は何か言いたそうにしながらも横にずれてスペースを空ける。
美琴は素早くスニーカーを脱ぐと、自分のルームシューズに履き替える。
その間も物言いたげな視線をひしひしと感じ、居心地が悪い。
「話がある」
短かく命令調の言葉に、美琴は内心溜息を吐いた。
彼が“話がある”と言い出したときは、ほぼ間違いなく美琴へのクレームだ。
(せっかく楽しい時を過ごしてきたのに)
一日の最後がこれかと思うと落胆する。
クレームの内容は、おそらく帰宅時間の遅さだろう。
(自分は自由にしているのに、私の生活態度には細かいなんて理不尽すぎる)
不満でいろいろと言いたいことはあるが、逆らえば争いになり余計に疲弊するのが目に見えている。
「ただいま」と言うことも、無視も出来ずに美琴は靴を履いたままの状態で玄関に立ち尽くす。
恐れているわけではないけれど、一希がなぜ不機嫌顔で待ち構えていたのか分からず対応を決めかねたからだ。
無言の美琴に一希は眉をひそめる。
「なぜ上がらない?」
「……一希が道を塞いでるから。どいて貰える?」
一希は何か言いたそうにしながらも横にずれてスペースを空ける。
美琴は素早くスニーカーを脱ぐと、自分のルームシューズに履き替える。
その間も物言いたげな視線をひしひしと感じ、居心地が悪い。
「話がある」
短かく命令調の言葉に、美琴は内心溜息を吐いた。
彼が“話がある”と言い出したときは、ほぼ間違いなく美琴へのクレームだ。
(せっかく楽しい時を過ごしてきたのに)
一日の最後がこれかと思うと落胆する。
クレームの内容は、おそらく帰宅時間の遅さだろう。
(自分は自由にしているのに、私の生活態度には細かいなんて理不尽すぎる)
不満でいろいろと言いたいことはあるが、逆らえば争いになり余計に疲弊するのが目に見えている。