仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
十八時過ぎ、美琴は再び寝室の扉をノックして静かに開いた。
一希は眠っていたようだ。
美琴の気配に気付いたのか、目を覚ます。
「あ、ごめんね起こしちゃって」
「いや……今、何時だ?」
「夕方六時過ぎ。お粥を用意したから食べないかと思って」
一希は美琴の作った食事をとらない。
多分、わざと。心を許さないという決意の表れなのだろうと最近では察していた。
だけど、今は平常時とは違う。
「先生が薬を飲む前に少しでも食事を取ったほうがいいとおっしゃっていたから、嫌かもしれないけど食べた方がいいと思うの」
一希は憂鬱そうな表情を浮かべていたけれど、諦めたように頷いた。
「!……今、持って来るから」
美琴は急ぎキッチンに行くと、丁寧に出汁を取って作った粥を器に移した。
水と薬と一緒にトレイに乗せ一希の下に戻り、サイドテールの上に置いた。
「どうぞ、少し冷ましてあるからすぐ食べられるわ」
「ああ」
一希は小さく頷くと、美琴の作ったお粥を口にした。
口に合わない、という様子もない。
量が少ないからか、一希は直ぐに食べ終え、薬を飲んだ。
美琴はホッとしながら、温めたタオルと着替えを渡した。
あとは特にやることがない。
使用済みの食器を乗せたトレイを持ち、寝室を出ようとすると、一希に呼び止められた。
一希は眠っていたようだ。
美琴の気配に気付いたのか、目を覚ます。
「あ、ごめんね起こしちゃって」
「いや……今、何時だ?」
「夕方六時過ぎ。お粥を用意したから食べないかと思って」
一希は美琴の作った食事をとらない。
多分、わざと。心を許さないという決意の表れなのだろうと最近では察していた。
だけど、今は平常時とは違う。
「先生が薬を飲む前に少しでも食事を取ったほうがいいとおっしゃっていたから、嫌かもしれないけど食べた方がいいと思うの」
一希は憂鬱そうな表情を浮かべていたけれど、諦めたように頷いた。
「!……今、持って来るから」
美琴は急ぎキッチンに行くと、丁寧に出汁を取って作った粥を器に移した。
水と薬と一緒にトレイに乗せ一希の下に戻り、サイドテールの上に置いた。
「どうぞ、少し冷ましてあるからすぐ食べられるわ」
「ああ」
一希は小さく頷くと、美琴の作ったお粥を口にした。
口に合わない、という様子もない。
量が少ないからか、一希は直ぐに食べ終え、薬を飲んだ。
美琴はホッとしながら、温めたタオルと着替えを渡した。
あとは特にやることがない。
使用済みの食器を乗せたトレイを持ち、寝室を出ようとすると、一希に呼び止められた。