仮面夫婦~御曹司は愛しい妻を溺愛したい~
「とても長い付き合いみたいね。だから彼女を信用していると言うのならそれでいいわ。でも私は彼女を許せないし、今後もその気持ちは変わらない。私のテリトリーには入れないから」
「どこまでも頑なだな。千夜子は俺の秘書だ。仕事で家にも来る。妻の権利を振りかざして仕事の邪魔をするのは許さない」
一希は美琴を睨め付けて言う。
身体が大きく、冴え冴えとした容貌の彼が、低い声で脅しのように言う言葉は迫力がある。
それだけでなく、今までは嫌われたくなくて、逆らえなかった。
しかし、彼との関係を諦めた今、恐怖は感じなくなっていた。
「頑ななのはそっちでしょう? 一希は観原千夜子の主張だけを信じて、私が一方的に悪いと決めつけている。今回に限らずいつも私の言葉なんて一切聞かないで、ただ責めてくるだけ。自分の言動を客観的に見てみたら? 」
「……ならばお前の言い分を聞いてやる」
「さっきから言ってるわ。観原千夜子を私とこの家に近付けないで。秘書だから無理と言うなら秘書を別の人にして」
「なんだと?」
「彼女とは仕事じゃなくても会えるでしょう? ほかの社員もそうすれば喜ぶかもしれないし」
社長の秘書が愛人では、皆やり辛いだろう。
そもそも、皆が知っている中で平然と仕事をしているふたりの神経が美琴には理解出来ない。
(やっぱり、分かり合えない人たちなんだわ)
「ほかの社員が喜ぶってどういう意味だ」
「言ったままだけど。理由が思いつかないのだとしたら、一希の客観性は本当に酷いと思うわ。それで社長だなんて驚く」
今までの鬱憤が一気に吹き出したように、意地悪い言葉ばかりが、次々と流暢に出て来て止まらない。
(ああ……私、怒ってたんだ)
「どこまでも頑なだな。千夜子は俺の秘書だ。仕事で家にも来る。妻の権利を振りかざして仕事の邪魔をするのは許さない」
一希は美琴を睨め付けて言う。
身体が大きく、冴え冴えとした容貌の彼が、低い声で脅しのように言う言葉は迫力がある。
それだけでなく、今までは嫌われたくなくて、逆らえなかった。
しかし、彼との関係を諦めた今、恐怖は感じなくなっていた。
「頑ななのはそっちでしょう? 一希は観原千夜子の主張だけを信じて、私が一方的に悪いと決めつけている。今回に限らずいつも私の言葉なんて一切聞かないで、ただ責めてくるだけ。自分の言動を客観的に見てみたら? 」
「……ならばお前の言い分を聞いてやる」
「さっきから言ってるわ。観原千夜子を私とこの家に近付けないで。秘書だから無理と言うなら秘書を別の人にして」
「なんだと?」
「彼女とは仕事じゃなくても会えるでしょう? ほかの社員もそうすれば喜ぶかもしれないし」
社長の秘書が愛人では、皆やり辛いだろう。
そもそも、皆が知っている中で平然と仕事をしているふたりの神経が美琴には理解出来ない。
(やっぱり、分かり合えない人たちなんだわ)
「ほかの社員が喜ぶってどういう意味だ」
「言ったままだけど。理由が思いつかないのだとしたら、一希の客観性は本当に酷いと思うわ。それで社長だなんて驚く」
今までの鬱憤が一気に吹き出したように、意地悪い言葉ばかりが、次々と流暢に出て来て止まらない。
(ああ……私、怒ってたんだ)