誰からも愛されない・・その後
紫月side
紫月···
紫月は、彩心の結婚で
本当に安心した。
青山先輩も喜んでくれていたが、
「まあ、辞めてもらいたくなかったがな。」
と、言ってくれた。
そんな紫月に、異動の話がでた。
四井銀行の海外にだ。
幹部になるためには
通らないと行けない道。
紫月は、彩心とも電話で毎日話しながら
準備をすすめて
出発日には、皐に見送られて
旅だった。
一、二年は、戻らない筈
紫月は、寂しさはあったが
必死に仕事を覚え
みんなに追い付く事に専念した。
いろんな人種がいる社内で
中々簡単に受け入れてもらえないのが
普通だが、紫月の努力で
みんなも認めていった。
それからも毎日は
あわただしく過ぎていく
こちらにきてはじめてのクリスマスイブを
一人で過ごしていた。
レストランで美味しい物を食べて
すると
「相席宜しいですか?」
と、スタッフの方に。
「カップルでなければ
構いませんよ。」
と、言うと、笑いながら
「お一人の方です。」
と、言われて
「どうぞ。」
と、告げると
「すみません、寛ぎのところ」
と、言ったのは日本語
紫月が顔をあげると
「あらっ、あなたは?」
「あっ、あなたでしたか?」
それは、秋山 凪だった。
それからは、二人で近況を話しながら
料理を食べた。
凪は、イギリスにいるらしいが
クライアントの依頼でアメリカに
来て雪で戻れなくて
このレストランに入ったらしい。
「泊まるとこは?」
「ああ、ないんだ。
クリスマスでどこもいっぱいらしい。」
「でしょうね、なら家に泊まれば。」
「そんなわけには。
空港で一夜を明かすつもり。」
と、言うと
「放置できないわよ。気にしないで。」
と、言われて
「なにから、なにまで
すまない、助かる。」
「なら、食べたら行きましょうか?」
と、なって
明日は休みだから
二人で宅飲みすることになった。