俺様副社長とハロウィン
「心海、悪い遅くなった」



あたしが資料室に入ってから10分くらい経過しただろうか。
暁が慌てたように入ってきた。



「大丈夫だよ。仕事、忙しいのに時間作ってくれてありがとね」



笑顔を暁に向ければ、グイッと腕を引っ張られてすぐに暁の腕のなか。



「だんだんさ、いやになってくる」


「……ん?」


「違う人のことを俺の奥さんだって言うの」


「……っ」



あたしがさっき思っていたモヤモヤと暁の言葉がリンクする。



「最初から心海だって言えばよかったんだけどさ。でも、会社中の人間に好奇の目で晒されんのだけは嫌なんだ」


「……暁」



いつから、暁はこんなにあたしのことを大切に扱ってくれるようになったのだろうか。



「会社で俺のだって公に言えないぶん、家では思う存分俺のだって示したいのに帰ってこれないし」



はぁーっと深くため息をついてしゃがみこむ。



「ごめんね……?」


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