月明かりの下の舞踏会


バサバサとコウモリ達が一斉に飛び立って行き、身を縮こませる。

ふと木々の間から見えたお屋敷の敷地にある、十字架に縛り付けられたーー骸骨。

……ほ、本格的に祭りを楽しんでいるのか、ただ趣味が悪いだけなのか。

本当にお菓子だけ渡したら真っ直ぐに帰ろう。

さっき見たものを見なかった事にして、一本道をひたすら歩く。

真っ黒な木々が小さく揺れたように見えたと思ったら、霧がゆっくりと引いていきお屋敷が見えた。


「お、大きい……」


町の時計台以上にそびえ立つお屋敷に、驚きを隠せずに声が漏れる。

落ち葉やら蔦が放置されたままで、手入れされていないのが残念だけど綺麗にしたらきっと立派なお屋敷なんだろう。

お屋敷全部の窓から明かりは漏れているから、人は間違いなくいる。

近づいて見ると蜘蛛の巣は張っているし……あれは、真っ赤な手型……?

雰囲気作りは大切だけど、子供達が見たら泣きながら急いで回れ右だ。



< 7 / 36 >

この作品をシェア

pagetop