「あの、私… 」

私が断ろうとすると、その前に桐生さんが遮った。

「返品は受け付けませんので、諦めて
受け取ってくださいね。
気に入っていただけるか分かりませんが、
開けてみてください。」

私はそれ以上、何も言えず、その箱を開けた。

中には、シルバーに輝くネックレス。

中央には、光り輝く石。

これ、まさか、プラチナにダイヤ?

私は思わず、左手小指のピンキーリングを見た。

なぜだろう?

仁くんからは、素直にもらえたのに、桐生さんからは、申し訳なく思う。

仁くんから甘やかされるのは、私の中で当たり前の行為になってるのかな?

「栗原さん、聞いてもいいですか?」

「あ、はい。」

一瞬、飛んでた意識が桐生さんの声で呼び戻された。

何?

「その指輪はどうされたんです?
先週まではしてませんでしたよね?」

桐生さんが私の小指を見て、心配そうに尋ねる。

「あの、これ…は、昨日、仁くんに… 」

< 103 / 318 >

この作品をシェア

pagetop