あれ?

これって、私、二股かけたみたいになってる?

桐生さんに「結婚を前提に」って言われてるのに、仁くんからプロポーズされてピンキーとはいえ、指輪をもらって…


ふううう…

桐生さんが、大きなため息を吐いた。

「やはり春山さんもでしたか。」

やはり?

桐生さんは仁くんの気持ちに気付いてたって事?

送別会のあの短い時間で?

「栗原さん。」

「はい。」

「俺からのプレゼントを受け取るのを躊躇した
理由は、春山さんが好きだからですか?」

そう問われて、私は大きくかぶりを振った。

「違います。
友人って言ってたのに、こんな高価な物を
いただくのは申し訳なくて…
私は何もプレゼント、用意してませんし…」

私がそう言うと、桐生さんは嬉しそうに微笑んだ。

「よかった。
少なくとも、失恋が決定した訳ではなさそう
ですね。」

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