そう言う桐生さんの目が妙に艶っぽくて、つい目を逸らしてしまう。

仁くんから貰った指輪をしてる事が、悪い事のような気がしてしまう。

私が何も言えずにいると、桐生さんは静かに立ち上がった。

驚いた私が桐生さんを目で追うと、桐生さんは私の手の中にあるネックレスを取り、

「俺がつけてもいいですか?」

と聞いた。

え!?
つけてくれるの?

私は少し嬉しくなって、こくんと頷いた。

こんな映画やドラマみたいな事、された事ない。

首筋に骨張った桐生さんの手が触れて、またドキッとする。

「はい。」

桐生さんが私の肩に手を置いて、終わった事を教えてくれる。

その手にまたドキッとする。

つけてもらったけど、自分では襟元は見えなくてとても残念。

「どうですか?」

私は桐生さんの方を向いて見てもらう。
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