音楽も料理もお酒も楽しんで、帰りに私が支払おうとしたら、すでに桐生さんが支払いを済ませてて、それは叶わなかった。

どうやら、私がネックレスを確認に席を立った時にもう支払ってたらしい。

「プレゼントもいただいたし、ここは私が。」

とお財布を出したが、桐生さんは全然受け取ってくれない。

「困ります。
私、いただいてばかりで…」

「じゃあ、栗原さんを名前で呼ぶ権利を
プレゼントしてください。」

「え?」

「これから、絆さんと呼んでもいいですか?」

そんなんでいいの?

「それは、全然構いませんけど、本当に
そんな事でいいんですか?」

「はい。
ついでに絆さんも俺の事、章吾って名前で
呼んでくれると嬉しいです。」

「章吾さん?」

「はい。」


なんだろう。

不思議。

名前で呼び合うだけで、少し親しくなった気がする。

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