「やだよ。
恥ずかしいじゃん。
だいたい、海翔くんだって、結ちゃんと
奈々ちゃんと付き合ってたんでしょ?
結婚したいと思うくらい、どっちも
好きだったって言ってたよ?」

私がそう言った瞬間に、天くんは結ちゃんの腰を抱き寄せた。

結ちゃんは、されるがままになっている。

「んー、だけど、海翔が私と
付き合い始めたのも25歳だったのよ?
王子って呼ばれて、女の子から告白やナンパ
されまくってたのに。
春山部長が言うには、海翔の初恋は
私らしいし、25になっても恋が分からない
気持ち、理解してくれると思うけどなぁ。
海翔、ここに呼ぶ?」

「え?
いいよ、そんなわざわざ。」

「じゃあ、仕事の後に、食事でも行って
おいで。
海翔、喜ぶと思うよ。」

「………うん、分かった。
後で連絡しておく。」

私がそう答えると、結ちゃんは嬉しそうに笑った。

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