『絆、正月の予定は?』

「家族と過ごすつもり。」

『いつまで名古屋?』

「4日の木曜日に帰るよ。」

『じゃあ、すれ違いだな。』

「え?」

『俺、4日に名古屋で、5日に大阪なんだ。』

「そうなの?
コンサート?」

『ああ。
………絆?』

「何?」

『会いたい。』

っ!!
仁くん…私も会いたい…けど…

今、会ったら、絶対に『好き』の気持ちのまま流される。

まだ、仁くんのプロポーズを断る決心がつかないから。

『ごめん。
そんな事言われても困るよな。』

「ううん。
私も仁くんに会いたいし。」

気づけば勝手にそんな事を言ってた。

『絆、好きだよ。』

私も好き…

だけど、それは言っちゃダメなんだ。

言ったら、余計に仁くんを傷つける。

私は、仁くんとは結婚できないんだから。

『じゃ、おやすみ、絆。』

「っ! おやすみなさい。」

仁くんが電話を切るのを確認してから、私はそのままベッドに倒れこんだ。

枕に顔を埋めて、嗚咽を殺した。

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