「うん!」

私は、仁くんが会いに来てくれるというだけで、何も考えられなくなっていた。

仁くん、わざわざ来てくれるなんて…


私は父に無理を言って名古屋駅で降ろしてもらい、下り線のホームで待つ。

仁くん…




だけど、風が吹き抜ける寒いホームで待つうちに、私の頭の中は、少しずつ冷静さを取り戻しつつあった。

仁くんに会いたくて来ちゃったけど、会ってどうしよう。

指輪を返す?

プロポーズを断る?

それとも、このまま会わずに帰る?

どうしよう。



今まで、好きでもない人と付き合って、ひと月も経たないうちに分かれて…

そんな事をずっと繰り返して…

そんな恋愛とも呼べない経験しかない私には、この状況でどうすればいいのか、全然分からない。

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