「じゃあ、一緒に初詣、行く?」

「仁くん、いいの?
予定があって早く来たんじゃないの?」

「違うよ。ただ絆に会いたかっただけ。」

どうしよう。

すっごく嬉しい。

嬉しくて、顔がにやける。

私は一生懸命、緩んだ口元を引き締めようと努力した。

「くくっ
絆、何、百面相してるの?」

「そっ、そんな事、してないし。」

「素直に『嬉しい!ありがとう!』って
言えばいいのに。」

「なっ、、、、」

図星を突かれ、私は言葉を失った。

「くくっ
ま、そんな素直じゃない絆も俺は好きなんだ
けどね。」

どうしたんだろう。

前は仁くん、こんな事言わなかったのに。

「なんで?」

「何が?」

「前は仁くん、そんな事言わなかったじゃ
ない。」

「そりゃ、20歳の時は、恥ずかしくて
言えないだろ。
絆は無自覚だったし。」
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