私は疑問に思いながらも玄関に向かう。

一緒についてきた仁くんは、玄関のチャイムを鳴らす。

あれ?
この光景、一週間くらい前にも経験したような…

ドアが開き、お母さんが現れた。

「夜分遅くにすみません。
ご無沙汰しております。春山仁です。
今日は、遅い時間から絆さんを呼び出して
申し訳ありませんでした。
絆さんから返事をいただけたら、正式に挨拶に
参りますが、俺は真剣に絆さんとの将来を
考えてます。
これから、どうぞよろしくお願いします。」

仁くんは、頭を下げた。

「こちらこそ、よろしくお願いしますね。
絆は心の中に迷宮を持ってる子だから、
時々迷子になって出られなくなるの。
上手く連れ出してやってね。」

ん?
どういう意味?

「はい。努力します。」

仁くんは、当然のように答える。

仁くん、意味分かるの?

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