「仁くん、明日コンサートだけど、ピアノ
弾かなくていいの?」

タクシーを拾おうと通りを歩きながら、私は聞いた。

「ピアノが置いてある大広間が3時から
空くから、そこで弾かせてもらえる事に
なってる。
絆も来る?」

「いいの?」

「もちろん。」

そこで仁くんは空車を捕まえたので、私たちは、ホテルに向かった。

3時までは、まだ少し時間があるので、私たちは一旦、仁くんの部屋へ向かう。

仁くんの部屋のソファーに並んで座り、私は思い出した。

昨日、ここで、仁くんと…

思い出してしまうと、どうしてもぎこちなくなってしまう。

仁くんは、なんで平気なんだろう。

ドキドキしたり、緊張したりしないの?

もしかして、仁くん、こういうのに慣れてるの?

そうか。
そうだよね。

仁くんだって、大人の男の人だもん。

こんなにかっこいいんだし、モテるし、そういう経験もたくさんあるよね。


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