「ふふっ
やっぱり絆には、ピアノの方が伝わる。」

仁くんは、私にハンカチを握らせ、優しく頭を撫でてくれる。

「絆、覚えておいて。
俺には、絆しかいない。
今までも、これからも。
絆はどう?
俺以外の奴と付き合ってみたんでしょ?
俺より好きな奴、いた?」

私はブンブンと首を横に振る。

仁くんより好きな人なんて、いなかったよ。

きっと、仁くんじゃない人と付き合ってたから、私は『好き』ってどういう事なのか分からないままだったんだ。

「じゃあ、絆、俺と付き合って。
今は、結婚とか考えなくてもいいから。」

「でも… 」

「結婚は、絆がしたいと思った時でいいよ。
俺は待つから。
でも、今、絆を手放して、絆が他の奴と
付き合ったりするのは、耐えられない。
だから、俺と付き合おう?」
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