「………はい。」

「俺の失恋は確定ですか?」

「申し訳ありません。
あの、これ、お返しします。」

私は、ネックレスをバッグから取り出し、章吾さんの前に置いた。

すると章吾さんは優しく微笑んで、

「絆さん、これは返品不可って言ったはず
ですよ。
返されても、俺は使い道がありませんし、
他の女性に差し上げるのも失礼でしょう?
これは、絆さんに恋人ができたお祝いです。
このまま受け取ってください。」

そう言うと、私の手を取って、ネックレスの箱を握らせた。

章吾さんの手が大きくてあたたかい。

「でも… 」

「その代わり、必ず幸せになってくださいね。
いずれ春山さんと結婚なさるんでしょう?」

「いえ、それは…」

私は言葉を濁した。

結婚は、できないよ…

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