「あの、今から、ここに来るそうです。」

私はおずおずと章吾さんに告げる。

「じゃあ、春山さんがいらっしゃるまで、
一緒にいますね。」

「え?」

「こんな場所に絆さんを1人で残して帰ったら、
すぐにナンパされるでしょうから。」

「そんな事…」

「大丈夫ですよ。
余計な事は言いませんから。
絆さんも、ちゃんと断って、俺は諦めたと
春山さんに伝えてください。
じゃないと、絆さんも春山さんと会いにくい
でしょう?」

「章吾さんは、それでいいんですか?」

「俺の気持ちは絆さんだけが分かってくれて
いれば、それで十分ですから。」

章吾さん、なんていい人なんだろう。

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