山崎さんに案内されてきたのは、VIPルーム。

空港内での余計な混乱を避けて、定刻通り搭乗・離陸するための配慮らしい。

それにしても、仁くん、アイドルやテレビタレントでもないのに、すごいな。

山崎さんがドアをノックして、中に入る。

「絆!」

「仁くん。」

部屋に入ると同時に、仁くんに抱き寄せられる。

「え? あの… 仁くん?」

どうしよう。
隣には山崎さんもいるのに…

「仁くん、離して。」

「やだ。」

「仁くん、山崎さんもいるし、恥ずかしいよ。」

私が言うと、仁くんは腕を解いて言った。

「山崎さん、コーヒー買ってきて
もらえますか?」

山崎さんは、ニヤリと笑って、

「コーヒーですね。
ついでにトイレに行ってくるので、遅く
なってもいいですか?」

と言った。

仁くんは、「くくっ」と笑う。

「ありがとう。ゆっくり行ってきて。」

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