山崎さんのいなくなった部屋で、仁くんはソファーに腰掛ける。

そのまま繋いだ手を引っ張られて、私はバランスを崩した。

仁くんの膝に乗ってしまい、慌てて立ち上がろうとするが、そのまま仁くんの腕に閉じ込められて動けなくなった。

「あの… 仁くん?」

私がおずおずと声を掛けると、仁くんが口を開く。

私は仁くんの膝に横向きに座ってるから、仁くんの吐息が直接耳にかかる。

「絆、好きだよ。」

仁くんの囁き声と耳にかかる息に、全身がぞわぞわする。

初めての感覚に、落ち着かなくて、どうしていいか分からなくなる。

困って俯くと、突然、仁くんに耳をかぷっと甘噛みされた。

「ぁん…」

自分でも思いもよらない高い声が零れる。

すごく恥ずかしい。

私が固まってると、仁くんが「ふふっ」と笑いを零す。

「ごめん。絆の耳が真っ赤でかわいかった
から。
絆、こっち向いて。」

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