「あのね、私、仁くんが好きなの。」

仁くんが一瞬目を見開き、その後、顔を綻ばせた。

「うん。」

「でもね、やっぱり、どうしても遠距離は
嫌なの。
だから、仁くんとは結婚できない。」

途端に仁くんの顔が曇る。

「でね、私の夢はね、うちのお母さんみたいな
お母さんになる事なの。
だから、いつか誰かと結婚したいの。」

「………つまり、絆は、俺の事は好きだけど、
遠距離は嫌だから、他の誰かと結婚するって
言ってるの?」

「………うん。」

「絆は、今日、俺と一緒にいるよね?
このまま、ヨーロッパやアメリカについて
くる事はできない?
そしたら、遠距離じゃないよね?」

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