私はソファーに座って仁くんを待つ。

今日で終わりにするんだ。

私の初恋。

仁くんと一緒に生きていけたらどんなに幸せだろう。

だけど、神様は仁くんに特別な才能を与えたんだ。

だから、私は、仁くんから離れなきゃいけない。

仁くん…





仁くんは、すぐにお風呂から上がってきた。

部屋に私がいるのを見て、安心したように、ほっとため息をひとつ吐いた。

私は、仁くんに歩み寄って、その頬に触れる。

「仁くん、まだ髪が濡れてるよ。
私もお風呂に行ってくるから、ちゃんと
乾かしておいてね。」

私はひとり、浴室に向かう。

仁くん…

仁くん…

仁くん…

仁くんを思いながら、シャワーを浴びる。


髪を乾かしてバスローブ姿で部屋に戻ると、仁くんが心配そうにこちらを見ていた。

< 194 / 318 >

この作品をシェア

pagetop