「仁くん。」

私は仁くんに歩み寄る。

仁くんは固まっていた。

私は、勇気を出して、仁くんの手を取る。

「仁くん、あのね、お願いがあるの。」

「何?」

「私、男の人とそういう事した事ないの。
この先、誰と結婚するとしても、私は多分、
仁くんより好きな人はできないと思う。
だから、私、初めては仁くんとしたい。」

「な…んで…」

仁くんは唇を噛みしめる。

「仁くん、お願い。」

「絆、残酷だよ。」

仁くんの声が震える。

「分かってる。
でも、私は、どうしても仁くんがいい。」

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