「絆さん、行きたい所は決まりましたか?」

章吾さんが車を走らせながら尋ねる。

「いえ、特には…」

一晩考えたけど、デートじゃなくて、友人として行ける場所って、全然思いつかなかった。

「じゃあ、三鷹に行ってもいいですか?」

章吾さんが提案する。

「三鷹…ですか?」

「はい。
子供じみてるかもしれませんが、
好きなアニメの美術館があって…」

「あっ!!
知ってます!!
私も子供の頃から好きで、行ってみたかった
んです。」

「よかった。
純粋な絆さんなら、
好きだろうなと思ってました。」

純粋? 私が?
打算で結婚を考えてるのに?

三鷹に着くと、近くの駐車場は全て満車だったから、少し離れた所から歩く事にした。

「絆さん、寒くありませんか?」

「はい。
章吾さんは、大丈夫ですか?」

「俺は大丈夫です。
なんだか、入る前からわくわくします。
子供みたいですよね。」

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