「噂?」

私は聞き返す。

「あれ? ご存知ありませんか?
ここのボートは、カップルで乗ると別れる
って噂があふんですよ。」

「ふふっ
そうなんですね。
私は、寒いのにボートに乗るなんて
チャレンジャーだなと思ったんですが。」

「ああ! それもそうですね。
絆さん、乗ってみますか?」

「えっ?」

「俺たちは付き合ってる訳じゃありません
から、噂も気にする事はありませんし、
絆さんが寒さに耐えられるなら。」

と章吾さんは私の顔を覗き込む。

「ふふっ
あれ、結構、体力使いますよ?
章吾さん、大丈夫ですか?」

「お?
何気に俺、見くびられてます?」

章吾さんが笑う。

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