「ええ!?
すっごく気になるんだけど。
誰にも言わないから、内緒で教えてよ。」

「ダメ。
それより、今年、ピアニスト呼んでるらしい
んだけど、総務の担当者が音大ピアノ科卒の
社員がいるって話したらしいんだ。
そしたら、2台のピアノのためのソナタを
弾きませんか?って言われたらしいんだけど、
絆、弾いてくれないか?」

「うん、いいよ。それくらい。
学生の頃、弾いたから、今から練習すれば
弾けると思う。
ただ、どっちのパート?」

「向こうは、どっちも弾けるから、絆に
合わせるって言ってるらしいけど、絆は
どっちがいい?」

「私も両方弾けるけど、ピアニストの方に
1パートをお願いしようかな。
私が2パートを弾くよ。」

「了解。ついでに、
幻想即興曲も聴きたいんだけど。

「は!?
そんなのピアニストに頼めばいいじゃん。」

「俺は絆のピアノが聴きたいんだ。
俺、絆のピアノ好きなのに、大学卒業して
から、全然聴いてないんだぞ?
小川が休みのたびに聴いてて、俺が何年も
聴いてないなんて、不公平だと思わないか?」

「そんなのいつでも聴かせてあげるよ。
奈々ちゃん達と遊びに来ればいいじゃない。」

「俺が行くと、小川が妬くだろ?」
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