『気に入っていただけましたか?』

「はい!
今も窓から飛び降りてみようかと思ってた所
です。」

『それはダメです!
言ったでしょ?
それは、本物じゃなくて、ガラス玉ですから。』

「ふふっ
はい、分かってます。
でも、試したくなるくらい、綺麗なんです。」

『じゃ、俺は、下でお姫様抱っこで受け止め
なきゃいけませんね。』

「ああ!
ふふっ
それは楽しみです。」

それは、映画の冒頭、空から降ってきたヒロインを小さな炭鉱夫のヒーローがガシッとお姫様抱っこで受け止めるシーン。

『俺は、絆さんのためなら、彼のようにどんな
犠牲を払ってでも守ってみせますよ。』

え?

『くくっ
冗談です。気にしないでください。』

章吾さんはそう言って笑う。

だけど…
冗談には聞こえなくて…

『絆さん、もう遅いですから、
おやすみなさい。』

「あ、そうですね。
おやすみなさい。」

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