「絆さん!
どうしたんですか?」

章吾さんの腕が伸びて、私の頬を大きな手で包み込む。

親指の腹で零れた涙を拭ってくれる。

「ごめんなさい。
私…」

言葉にならない。

「絆さん、とりあえず、行きましょう?
ここは、会社の人も通りますから。」

章吾さんが私の肩を抱いて、連れ出してくれる。

ジャズバーに着き、並んで座る。

お酒を注文し、章吾さんはまた、優しく私の肩を抱き寄せる。

「絆さん、何かありましたか?」

耳元で囁く。

私は首を振る事しか出来なかった。

お酒を1杯飲み終えて、私はようやく口を開いた。

「今日、ネットニュースで仁くんの記事を
見ました。
仁くんを傷つけた私が、こうやって
章吾さんに慰められてるのは、ずるいと
思います。
だから、もう、章吾さんには会いません。
ごめんなさい。」

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